1.ドル円相場の値動き:3日の東京外国為替市場でドル円は一時1ドル=151円台をつける場面がありましたが、その後円買い優勢となり、正午時点で150円半ばまでドル安・円高方向に反転しました。
朝方のドル買い(円安)局面では実需の売りも出て仲値前後に上昇が抑制され、終値ベースでは前週末比でややドル安・円高の150円前半水準となっています
米国による対メキシコ・カナダ関税発動を翌日に控えた貿易摩擦懸念からリスク回避の円買いが入り、ドルの上値を抑えた状況です。
2.金利動向と金融政策の影響:日本国内の金利上昇も円高要因となりました。東京市場で長期金利にあたる新発10年国債利回りが一時1.405%まで上昇(+3.5bp)する中、日米金利差縮小観測がドル円の上値の重さにつながりました。
一方、朝方には米10年債利回りが4.2%台まで上昇する局面がありドル円を151円超まで押し上げましたが、日本金利上昇や貿易摩擦への警戒が勝り、その後のドル円は伸び悩みました。
日銀の金融政策自体に目立った変更はありませんが、日本金利のじり高傾向が為替に影響を与えています。
3.経済指標やイベントの影響:週内に予定された重要指標を控え、様子見ムードも漂いました。
米国時間当日発表のISM製造業景況指数や週後半のISM非製造業指数、雇用統計など景気減速を示す可能性のある指標発表を前に、一部では現在のドル高水準は「売り時」との見方から利益確定の売りが出ました。
また、中国の製造業PMI改善を受けたアジア株高・商品市場の強含みが見られ、オセアニア通貨などリスク通貨にも買いが波及しました。実際、豪ドル/米ドルは中国指標の好結果を背景に0.6227米ドル付近まで上昇(前日比+0.39%)しています。
4.投機筋の動きと市場センチメント:足元では投機筋による円買いポジションが史上最大水準に達しています。米CFTC(商品先物取引委員会)のデータによれば、2月25日時点で非商業部門の円買い持ち高は17万1,751枚と過去最高を更新し、ネットでも9万5,980枚の円買い越しとなりました。
これは投資家が将来的な円高(ドル安)を見込んでポジションを積み上げていることを示しますが、円買いポジションにはコスト負担もあるため、日銀が早急に利上げを行わない限り「いずれ持ち高解消(=ドル急反発)の可能性がある」との指摘も出ています
。実際、短期筋が見切りをつけた場合にはドル円が大きく戻すリスクも指摘されており、投機的なポジション動向が今後の為替レートに与える影響に市場は警戒しています。
5.その他注目通貨・市場心理:3日は円相場の動きが際立ったものの、他の主要通貨も概ねリスク要因に反応しました。ユーロ円はドル円と同様に序盤は円安方向に振れて一時157円台後半まで上昇しましたが、その後はやや円高方向に押し戻されています(正午時点で157円前後)。また、高金利通貨や資源国通貨も、中国景気指標の好転で買われる場面がありつつ、米関税発動を控えたリスク回避の流れに上値を抑えられる展開となりました。
総じてこの日の為替市場は、株高を好感したリスクオンの動きと貿易問題を意識したリスクオフの円買いが綱引きする形となり、ドル円・クロス円は高値警戒感から上げ渋る結果となりました。
6.2025年3月4日(火)および今週の外国為替(FX)市場に影響を与える主要な経済指標とイベントは以下のとおりです。
3月4日(火)
日本の雇用統計
完全失業率:8時30分発表予定。前回値は2.4%。
有効求人倍率:8時30分発表予定。前回値は1.25倍。
オーストラリアの経済指標
小売売上高(1月):9時30分発表予定。前月比0.3%増と予想されています。
経常収支(10-12月期):9時30分発表予定。前回は141億豪ドルの赤字でした。
今週の主な経済指標とイベント
3月5日(水)
オーストラリアGDP(10-12月期):9時30分発表予定。前年同期比1.2%増、前期比0.5%増と予想されています。
中国財新サービス部門PMI(2月):10時45分発表予定。前回値は51.0。
3月6日(木)
欧州中央銀行(ECB)理事会:政策金利の発表が予定されています。
米国貿易収支(1月):22時30分発表予定。前回は984.31億ドルの赤字でした。
3月7日(金)
米国雇用統計(2月)
非農業部門雇用者数変化:22時30分発表予定。前回は16万人の増加が予想されています。
失業率:22時30分発表予定。前回値は4.0%。
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