1.日経平均の動向: 日経平均株価は前日比454円安の3万7331.18円(-1.20%)と大幅反落しました。前日の米国株急落やトランプ米政権の追加関税発動を受けてリスク回避姿勢が強まり、寄り付き直後から下落しました。。一時は前日比969円安の3万6816円まで下落する場面もありましたが、その後下げ渋り、終値では3万7000円。東証プライム市場の売買代金は概算で約4兆8665億円に達し、売買高は約19億6450万株と活況でした
。投資家心理の不安を示す日経VI(ボラティリティ指数)は一時31.6ポイント(昨年11月以来の高水準)まで急上昇し、引けでは27.2ポイントとなるなど、先行き不
2.個別株の動き: 材料株やテーマ株で明暗が分かれました。医薬品の杏林製薬(4569)はノバルティスとの創薬ライセンス契約が好感され、ストップ高の21.8%高となり当日上昇率トップを記録しました。また、防衛関連の三菱重工業(7011)は7.8%高と大幅続伸し、川崎重工業やIHIなどとともに全体相場に逆行高となりました。ウクライナ情勢の緊迫化(米国の軍事支援一時停止報道)を背景に、世界的な有事リスクへの警戒から防衛株に買いが集中したためです。一方、ハイテク主力には売りが広がり、米半導体大手エヌビディア急落の影響で半導体テスト装置のアドバンテスト(6857)が4.3%安となり
、AI投資が主体のソフトバンクグループ(9984)も4.8%安と下落しました。
自動車株も円高を嫌気して軟調で、日野自動車が3.3%安となるなど輸出関連に売りが目立ちました。流通大手セブン&アイ・ホールディングス(3382)は6.9%安と急落し、3日ぶりに反落しました。これは「カナダのコンビニ大手クシュタールによる買収提案を受け入れず、自力で企業価値向上を目指す方針を固めた」と報じられ、市場が将来的な成長に懐疑的になったことが背景です。ほかに、決算を嫌気した伊藤園(2593)が一時12%超の急落となるなど、個別材料に敏感な動きもみられました。
3.市場全体のトレンド: 業種別では33業種中10業種が上昇し、上位は機械、空運、繊維、海運などでした。
一方で23業種が下落し、非鉄金属、証券・商品先物、鉱業など景気敏感業種が下落率上位となりました。
米国株安に伴う世界的なリスクオフ傾向や円高進行で輸出株が売られた半面、防衛関連など一部の内需・特殊要因株に資金がシフトする展開でした。投資家心理は弱気に傾いており、前述のようにボラティリティ指数の急上昇が物語るように不安感が高まっています。
もっとも、日経平均は終盤にかけて下げ幅を縮小してテクニカルな節目である3万7000円を維持しており、下値では押し目買い意欲も残っていることが示唆されました。
4.外部要因: 前日の米国市場では主要3指数(ダウ平均・S&P500・ナスダック)が揃って大幅安となり、S&P500指数は年初来最大の下げ幅を記録しました。背景にはトランプ大統領がメキシコ・カナダからの輸入品に25%の追加関税を発動し、中国からの輸入品関税も倍増(10%→20%)させるなど、主要貿易相手国との間で新たな貿易摩擦が生じたことがあります。トランプ大統領はまた、日本と中国に対し通貨安誘導の是正を要求する発言を行い、これを受けて外国為替市場では一時1ドル=148円台まで急速に円高が進行しました。米ISM製造業景況指数の予想下振れによる米景気減速懸念も重なり、投資家はリスク資産から一斉に手を引く動きとなりました。加えて米政権がウクライナへの軍事支援を一時停止したと伝えられたことで地政学リスクも意識され、安全資産とされる円買い・株式売りに拍車がかかった面もあります。こうした海外情勢の悪化が日本市場にも波及し、この日の株安の主因となりました。
5.注目のニュース・決算発表: 個別企業の材料では、杏林製薬のノバルティスとの契約締結や、フライトホールディングス(3753)の三菱UFJ銀行との協業発表
などポジティブな企業ニュースが株価を大きく動かしました。一方、セブン&アイが海外企業からの買収提案を拒否したニュースや、伊藤園の決算失望は該社株急落につながり、市場の話題となっています。決算発表では、3月4日に内田洋行(8057)が今期経常利益を5%上方修正し4期ぶりの過去最高益見通しと発表、マルマエ(6264)も上期経常利益を42%上方修正するなど好業績サプライズが相次ぎました。一方でイマジカ・グループ(6879)が通期最終損益見通しを9億円の赤字から15億円の赤字へと下方修正し、赤字拡大予想を公表しています。主要大型企業の決算発表は少なかったものの、中小型株を中心にサプライズ決算が目立ち、内容次第で株価が急動する展開が続いています。